お役立ちコラム

キニナル・コトバ 第14回「Z世代」


「Z世代」。テレビや新聞、ネットでもよく目にする言葉です。昔から、「若い人のことを、なんだか分からないけどひとくくりにしたい」という言葉はよく出てきます。古くは「新人類」とか、「団塊ジュニア」からはじまって、「氷河期世代」「さとり世代」「X世代」「ミレニアル世代」などいろいろ。そうした言葉で、今の若者を表す代表的な言葉が「Z世代」なわけです。
「Z世代」について、まとめてみましょう。

■「X世代(ジェネレーションX)」から始まって「Y世代」の次が、「Z世代」

 Z世代は、おおむね、1990年代後半から2010年代前半に生まれた世代を指します。今が2023年ですから、10歳から27~8歳がそれにあたります。おおむね中学生から20代半ばの若者と考えてもいいでしょう。
 ちなみに、日本だけの言葉ではなく、アメリカ発祥で全世界的に「ジェネレーションZ(GenerationZ)」として使われています。
 もともとは、1960~70年代に生まれた世代が「ジェネレーションX」と呼ばれ、その後の80~90年代生まれの人々が「ジェネレーションY(ミレニアル世代)」と呼ばれました。
 ですから、次の世代にあたる1990~2010年の「今の若者」が、「Z」と呼ばれるようになったわけです。
 ちなみにジェネレーションXは、ダグラス・クープランドの小説「ジェネレーションX」から来ています。ベトナム戦争が終わった脱力感のある世代で、テレビが当たり前になった時代の子どもたち。離婚家庭が増えて親からはやや放任気味となり、仕事は熟練が必要なく昇進の見込みもなく、離職率が高いいわゆる「マックジョブ(マクドナルドでアルバイト)」。そうした世代を表した言葉でした。
 次の「ミレニアル世代(ジェネレーションY)」は、インターネット普及前に生まれ、子ども時代から若者時代に、IT革命、インターネットの普及をもろに体験した世代です。
 思春期の頃にアメリカ同時多発テロを体験した子どもたちで、政府の社会政策への介入をよしとする者が多く、不正を嫌う傾向にあります。バラク・オバマがアメリカ大統領だった時代といえば、なんとなく雰囲気が分かるのではないでしょうか。

■「Z世代」のキャラクターとは

 では、Z世代とは、どんな世代なのでしょうか。
 彼らは、生まれた時からインターネットが普通にあるという初めての世代。IT革命は彼らの生まれる前でした。最初の「ディジタル・ネイティブ」といえます。
 また、パソコンよりスマートフォンを日々使いこなします。
 個人の情報発信が当たり前で、旧ツイッターやインスタグラムに代表されるSNSを活用するのに手慣れています。何かの商品やサービスを購入する時も、テレビや新聞、ネットなどを通じたいわゆる「マスメディア」より、SNSからの情報を参考にする傾向があります。新しい「口コミ」の時代に住んでいると考えることもできるでしょう。
 また、時代の雰囲気として、LGBTQなどの問題や人種差別、環境などの社会問題に対する関心が高い傾向があります。また、SNSなどを通して、グローバルな感覚に慣れており、他の世代よりも国を飛び越えた意識を持ちやすくなっています。

■他人の評価を気にする、「タイパ」などの効率性を重視する傾向も

 その一方で、SNSという個人の意見の総体を相手にしているため、「他人にどう見られているか」への意識が強く、「自分の考えを認めてほしい」など、独特の承認欲求を持っているともいわれています。
 この承認欲求は、必ずしも他人との競争に勝つや昇進することではなく、自己実現へ向かうといったものとなります。
 また「タイパ(タイムパフォーマンス)」「コスパ(コストパフォーマンス)」の言葉に代表されるように、時間や作業のムダが嫌いで、効率を非常に重視する意識も見られます。会議や書類のやりとりが多い日本の企業は、Z世代には効率的ではない、と映るかもしれません。
 これが行き過ぎると、たとえば「映画やドラマを早送りして結末を知る」といった、本来の楽しみ方とは違う行動に出るケースもあります。
 
■Z世代は、全世界人口の3割にも及ぶ

 こうして、Z世代のキャラクターを述べてきましたが、これはひとつの傾向というだけで、必ずしもすべての人々に当てはまるというわけではありません。むしろ、現在の10代~20代の若者をすべて「Z世代」としてひとくくりにするのは無理があります。
 ただし、Z世代が注目され、流行語に選ばれるのには理由があります。それは、全世界的に見て、この世代の人数が非常に多いからです。日本では少子化が進み、その数は全人口の15%程度。しかし世界的に見ると、人口の約3割がZ世代だとされます。
 これだけ人数が多いと、消費行動における影響力は非常に大きくなります。
 これからZ世代は学校を卒業し、社会に出てさまざまな経済活動を行うことになります。そこで彼らの共通意識が、消費に大きな影響を与えると考えられています。
 世界に繋がり、テレビを見ず、SNSから情報をキャッチし、共有する「Z世代」が何を考えているか、どう動くのか。それを掴むことが、今後の企業にとっては重要です。市場動向、マーケティングのみならず、求人においても、企業はZ世代と向き合わなければならないからです。
 一度、御社でも、Z世代について深く考えてみることが大事ではないでしょうか。それが、今後の企業の姿を見つめるカギになるかもしれません。