お役立ちコラム

キニナル・コトバ 第15回「酷暑日」


 毎日暑い日が続きますね。ここ10年ほどは、夏になると毎年、「記録的な猛暑」という言葉がニュースで踊ります。毎年「記録的」や「10年に一度」という言葉が聞かれます。毎年聞く「10年に一度」って、何か変じゃないでしょうか。
 とりあえず、夏は、数十年前に比べても確実に暑くなっています。昔は昼間、クーラーのない部屋で、大の字になって寝ていても、涼しい風が吹いたりして、そこそこ過ごせました。でも今では絶対無理です。地球温暖化が身に染みて堪(こた)えます。
 そんな夏を象徴する言葉が「酷暑日」。2022年に生まれました。「猛暑日」を超えて「酷暑日」です。いったいどんな日なのでしょうか。

■「夏日」や「真夏日」、「熱帯夜」とは

 「夏日」などの定義は、気象庁の予報用語で定められています。「予報用語」とは、天気予報や注意報・警報などがラジオやテレビ、新聞やネットなどで正確に伝わるよう、気象庁が定めたものです。
 「夏日」などは、一日の最高気温で決まります。気象庁によると、一日の最高気温が、
 25℃以上を「夏日」、
 30℃以上を「真夏日」、
 35℃以上を「猛暑日」、
 と定めています。
 また、「熱帯夜」などは、夜間の「最低」気温が25℃以上の日を指します。熱帯夜は気象庁の統計項目にはないんだそうです。
逆に冬は、最低気温が0度以下の日を「冬日」、「最高」気温が0℃以下の日を「真冬日」と定めています。
「夏日」と「真夏日」は昔からありましたが、「猛暑日」ができたのは近年です。2007年の予報用語改正で「熱中症」という言葉とともに生まれました。
ここまできて、おや? と思った人もおられるでしょう。そうです。「酷暑日」はありません。
気象庁の予報用語には「酷暑日」はないのです。

■「酷暑日」は日本気象協会が作った

 では、「酷暑日」はどういう定義なのでしょうか。
「酷暑日」とは、一日の最高気温が40℃以上の日のことです。
 気象庁ではなく、日本気象協会が定めたものです。
 ちなみに日本気象協会は、広く気象情報の提供を行う一般財団法人で、全国に支社があり、多くの気象予報士が所属しています。
 ですから、「酷暑日」は気象庁が発表する正式な予報用語には含まれていません。
 これまでの「猛暑日」では、最近の暑さがとても表現できないということで、さらに上のランクの用語をと、2022年に協会所属の気象予報士130名にアンケートをとって、定められました。
 日本気象協会によると、1875年の統計開始からこれまでに、国内で40℃以上を観測したのは32地点計67回なのだそうですが、2001年以降の約20年で59回と、9割近くを占めています。
 そこで協会では、危険な暑さへの予防啓発や注意喚起のために、この言葉を定めたということです。

■最高気温40℃以上の「酷暑日」を記録した街は

 それにしても、日中の最高気温が40℃以上というのは、ニュースになるレベルの暑さです。
 日本の最高気温の記録では、1933年7月24日に山形県山形市で40.8℃が長らく破られていませんでした。それが2007年8月16日に、岐阜県多治見市で40.9℃が記録され、74年ぶりに更新。岐阜県多治見市は「日本一暑い町」として有名になりました。
 しかし記録は徐々に更新され、現在の最高気温は静岡県浜松市で2020年8月17日に記録された41.1℃が1位だそうです。

 最高気温40℃を超える日「酷暑日」は、そう簡単にあるとは思えませんが、しかし、それが普通になってしまったら、暮らしはどうなるのでしょうか。
 電力消費は、今年は危機をなんとか回避したようです。それでも40℃超の酷暑日が普通になったら、電力もパンクしてしまうかもしれません。
 酷暑日が少なくなることを願います。
 今日もとても暑いですが。