お役立ちコラム

キニナル・コトバ 第22回「ディワーリ」

 株式会社スリートでは、わが社の社員と、南インドの関連会社「Simplan Software India」の社員が直接出会う「第1回 日印合同会議」をタイのバンコクで開催してきました。
 両社の社員がホテルの会議場に一堂に会し、さらに日本とインドに残ったメンバーもオンラインで参加。今後の両社をどう発展させていくべきなのか、2日間にわたって白熱した議論が展開されました。
 さて、この会議は会議自体もさることながら、日印の社員どうしの親睦も重要なテーマでした。
 日印の社員が1人ずつ、ペアで各部屋に宿泊して一緒に行動するのですが、最終日の土曜。帰り支度をする中で、私は同室のインドの社員に話しかけました。
「帰ったら日曜の朝か。月曜日から出社で大変だよね」
 インドの社員はみな日本語を勉強しているので、ある程度話せます。
 すると彼は、嬉しそうに首を振ってこう答えました。
「いえ、月曜日はお休みです。ディワーリなんですよ!」
 ディワーリ。私は、インドに関する本を作ったので知っていました。(弊社刊『左手でお尻拭けますか? 南インドのド田舎で会社を作ったハナシ』)。皆さんはご存じですか?
 日本でも最近では、インドに関する関心が高まっているので、ニュースなどで「本日はインドのディワーリでした」と紹介されることが時々あります。
 では、このディワーリ。いったい何なんでしょうか。

■ディワーリとは

 「ディワーリ」は、インドの主要な宗教、ヒンドゥー教のお祭りです。インドの人にとっては一年で一番重要なお祭りで、いわば日本のお正月のようなもの。ヒンドゥー暦のカルティカ月の新月の夜(グレゴリオ暦で11月くらい)に、5日間かけてお祝いされるそうです。
 別名を「光のフェスティバル」といい、闇に対する光の勝利を祝い、オイルランプを家の外で灯し、爆竹を鳴らして盛大に、にぎやかに祝います。
 インドは、多宗教の国ですが、宗教の壁を越え、皆でお祝いします。

 5日間の日程は、初日がダンテラス、2日目がチョテイ・ディワーリ、3日目がメインのお祭りの日であるディワーリ。そして4日目がゴヴァルタン・プージャ、5日目がバイドゥージです。
 このうち、一番賑やかなお祭りの日が3日目のディワーリです。
 ディワーリの準備は、この5日間の数日前から行われます。インドの人々は家を掃除したり、修理をしたりして清潔にします。
 それから、「ランゴリー」と言って、家の外の地面に、色のついた砂や粉、花びらや米などを使って地面に美しい文様を描きます。
 そして、小さな素焼きの皿に油を入れた「ディヤ」というオイルランプをたくさん用意し、夜になるとランゴリ―の上や部屋などに置き、明かりを灯します。
 ディヤの炎は風に揺れ、街じゅうが非常に幻想的な雰囲気につつまれます。ディヤは未来に対する楽観と、将来の繫栄を示しているとも言われます。

 さて、ディワーリで祀られるのがヒンドゥー教の女神・ラクシュミーです。ラクシュミーは富の神で、蓮華の衣をまとい、蓮華の目をしていると言われます。彼女の4本の手からは金貨がこぼれると言われます。
 ディワーリの3日目には、インドの人々はラクシュミーに礼拝を捧げ、富と繁栄を願うと言われます。
 これだけでなく、ディワーリの期間中は、大都市では街じゅうがきらびやかなネオンサインにつつまれ、イルミネーションが家々の屋根から吊るされたりします。また、さまざまな場所で膨大な花火が打ち上げられます。
 富と繁栄の祭りなので、ギャンブルも人気があります。初日のダンテラスには、金や銀を買ったり、台所用品を買ったりもします。
 ディワーリの間は、たくさんのインドの人々が買い物をするので、百貨店などはディワーリ商戦にあけくれるようです。
 
■南インドでは「カルティカ・ディーパム」が

 そんなにぎやかなディワーリ。中国の旧正月「春節」をイメージする人もいるでしょう。違う祭りとはいえ、ちょっと似たところがありますね。
 ディワーリはインドでは全国的に行われますが、おおむね首都デリーのある北インドを中心としたお祭りです。
 では、弊社の関連会社「Simplan Software India」のある、南インド・タミルナドゥ州では、11月か12月の満月の夜に、同じような「カルティカ・ディーパム」というお祭りが行われます。
 いわばこれは、ディワーリの南インド版。祭りの当日には、家の前などに「コーラム」と呼ばれる美しい文様を砂などで描き、そこに火の灯った「ディーパム」と呼ばれる小さなランプをたくさん置きます。

 インドは日本の9倍の面積があり、北インドと南インドでは、話している言葉も違います。そんなわけで、各地でさまざまなお祭りが行われています。
 最近、経済的に活発で、何かと注目を浴びているインド。さすがにディワーリはハロウィンのようには日本で広がらないでしょうが、インドのお祭りとして、覚えておいて損はないと思いますよ。