【電力コラム】次世代スマートメーターとは!?
作成日:2023.04.21 更新日:2023.04.21 公開日:2023.04.21
■そもそもスマートメーターって何?
最近、次世代スマートメーターのことがそろそろ話題に上るようになってきました。
設置開始から9年。製品の使用期限は10年ほどですので、そろそろ入れ替えの時期に…。
と、ここまで読んで「スマートメーター」っていったい何? と思った人も多いでしょう。
「スマートメーター」なんて聞いたことがない人が大半かもしれません。しかし、このメーターは我々の生活に密着した重要な役割を果たしているのです。
「スマートメーター」というのは、電気のメーターのことです。家の脇などに、ガスのメーターとともに取り付けてある機械ですね。しばらく前なら、「あのデジタル表示で円盤が動いているやつ」と言えば、「ああ、あれか」と思い当たる人も多かったでしょう。
以前の電気メーターは、積算型電力量計といって「アラゴの円盤」というのを回し、使用電力量を計測するものでした。
計測には、毎月電力会社の計測員さんが来て、目で見て記録していました。
しかし、この10年でメーターは様変わりしました。全自動の「スマートメーター」に切り替わったのです。
スマートメーターは、通信機能を備え、30分に1回、使った電力の値を電力会社(一般送配電事業者)に送信します。
記録された使用電力量は、「確定値」として蓄積され、小売電気事業者に渡されて、電気料金の計算のもとになります。
■スマートメーターは、家庭のエネルギー節約などに役立つ
スマートメーターのメリットは、なんといっても30分に1回という、細かな間隔で電力計測ができるということです。このデータは、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム=家庭のエネルギー管理システム)機器とつなげることで、家庭内でどの時間にどの家電で電力が多く使われ、ムダがないかをチェックできます。これが「電気の見える化」です。また、家電機器などを自動制御することによって、人がいない時には電気を消したりすることもできます。
また、スマートメーターによって計測された電力は、一般送配電事業者に送られることより、ビッグデータとして需給管理(電気の需要と供給の調整)に活用されたりもします。
■次世代スマートメーターとは
スマートメーターが登場したのは2014年。それから徐々に各電力会社により、一般家庭やオフィスのメーターが置き換わっていきました。旧式のメーターからの交換は無料。非常に迅速に、また静かに置き換わっているので、「わが家のメーターが換わったことに気づかなかった」という人も多いでしょう。2024年には、ほぼすべての家庭で、メーターの置き換えが完了するとされています。
さて、スマートメーターの耐用年限は10年とされています。
そこで、次世代スマートメーターの設置が2025年から開始される予定です。
次世代スマートメーターは、使用電力量が新たに5分単位で計測することができます。これまでが30分単位でしたから、6倍の緻密さ(粒度)で計測することができます。
ただし、すべてのメーターから5分値を取得していては、電力会社側のコストが莫大なものになるため、一部を抜粋して5分値を取得し、全体の傾向を図ることになりそうです。
また、「ポーリング機能」も有効です。ポーリング機能とは、個々の機器の動作を確認できるもの。この機能により、どこかの家庭やオフィスで停電が起きても、状況をすばやくキャッチすることができます。また、大規模停電が起きた時などに、復旧できそうなメーターを個別に調べ、速やかな復旧に役立てることができます。
また、HEMSに使われるBルートに、一般的な2.4GHz帯の無線LANを使えるようにもなります。これまであまり使われなかったBルートが、汎用性の高い無線LANになることで、各機器を結びつけ、より利便性の高いHEMSを構築することができます。
さらに、次世代スマートメーターでは、電力だけでなくガスや水道メーターと連繋する「共同検針」も導入されます。電気とガス、水道それぞれに検針システムを作るのは効率が悪いので、統一して一つのルートで計測データを全部送れるようにするしくみです。
共同検針は、すでに大手ガス会社などでは独自の検針システムを構築しているところもあるため、選択制になります。
しかし、ますます便利さを増していくスマートメーター。近未来的なスマートシティへの準備のようで、楽しみではありますね。