各国の電力自由化状況

東南アジア

カンボジア

ポル・ポト派の圧政を経て国土再建中

 カンボジアは、長い内戦とポル・ポト派の圧政を経て多くの犠牲を出しながら1993年に現在の姿になりました。18.1万km2と日本の約半分の国土に人口1,576万人(2016年)が暮らします。東はベトナム、西はタイ、北はラオスと接します。
 現在は国の再建途上にあり、GDPはまだ223億ドル(2017年)とタイの20分の1しかなく、一人あたりGDPも1,390ドルで国民の半数以上が貧困層と見られています。成長率は7%で今後の経済発展が期待されます。

石炭火力と水力発電所建設で発電力が急増中

 カンボジアの発電能力は増加しており、発電設備容量は228万kW(2017年)で、前年の177万kWから28%増加しました。
 電源は水力46%、石炭43%、石油8%、バイオマス1%ですが、石炭火力発電と水力発電所が相次いで建設されているため、比率が上昇しています。
 電化率は58.2%と、他国に比べまだ立ち遅れが目立ちます。
 電力需要の急増によって、自国の発電容量では足りず、一時期は国内よりベトナムなどからの電力輸入のほうが多い状況でしたが、近年は国内の発電量が上回っています。

小売事業は国営公社が主体、発電所や電力網整備に日本も参画

 電力産業については、国営のEDC(カンボジア電力公社)が首都プノンペンや地方主要都市で送配電を行っています。ただ、EDCのエリア以外では小規模の民間事業者や地方電気事業者が行っており、地域ごとに送電が別々であるため、電気料金に各地で大きな差があるのが問題です。将来的には、全国規模の送電網整備が望まれています。
 一方の発電事業は、自国での発電所建設能力がないため、海外資本などのIPP(独立系発電事業者)に頼っており、98.5%を占めています。
 日本企業も、東芝プラントシステム受注の15万kWの石炭火力発電所建設(2019年11月完工予定)、関西電力や中国電力など受注の首都プノンペンの送配電網増強のコンサルティング事業などを行っていて、積極的なプロジェクト参画を進めています。

発電所建設が次々に、日本からの参画も

 カンボジア政府は、今後、引き続き石炭火力と水力発電所を建設に注力する予定です。2020年には発電容量を現在の4倍の770万kW、2030年には11倍の1,987万kW、2040年には25倍の4,531kWにすることを目標にしています。
 すでに2025年までに石炭火力発電所5件、水力発電所15件の建設が計画されており、日本からも大手電力会社などの参画が期待されます。