各国の電力自由化状況

ヨーロッパ

デンマーク王国

北海に面した高福祉国家

 デンマークは北海に面したユトランド半島と443の島からなり、首都コペンハーゲンは面積最大のシェラン島にあります。国土面積は4.2万km2と狭いですが、自治領として世界最大の島グリーンランドやフェロー諸島などを含みます。人口は581万人(2019年)です。名目GDP(2018年)は3,543億ドルと世界38位で北欧4国の中では3位。しかし1人あたりのGDPは60,692ドルとアメリカに次いで世界10位。高福祉国家として、国民の満足度はとても高い国です。

風力発電が全発電量の42.5%、電力の3分の2は再エネ

 デンマークでは再生可能エネルギーの利用が非常に進んでおり、発電における電源構成は2016年で、再エネが63%、石炭29%、天然ガス7%、石油1%で、3分の2が再エネとなっています。
 再生可能エネルギーでは、風力発電の比率が大きく74%を占め、22%が木質チップなどのバイオマス燃料発電です。デンマークの風力発電は歴史が古く、1979年から陸上風力発電に支援制度が始まりました。デンマークの沿岸部は遠浅の海が広がり、洋上風力発電に向いており、1990年代に最初の発電所が運転を始めています。風力は2016年現在で全発電容量の42.5%を占め、2021年には60%に上るとしています。
 石炭については、石炭火力発電大手の旧ドング・エナジー社(現エルステッド社)もバイオマス燃料にシフトし、2023年には石炭利用を止めると発表。政府はこれを受け、2030年までに石炭火力による発電量を0にすると発表しました。

2003年には自由化達成。発電事業は国有のエルステッド社が占有

 デンマークの電力事業は、1999年の電力供給法改正により、発電・送配電・小売部門が分離、2003年には全面自由化が行われています。  発電部門の最大手は、国が株式の50%強を保有するエルステッド社(旧ドング・エナジー社)です。他にスウェーデンのバッテンフォール社やドイツのE.ON社も名を連ねています。
 送電事業は国営のエナジーネットが全系統の運用を行っています。卸電力については、北欧諸国が加盟する国際電力取引所ノルド・プールに加盟。風力の発電量が低下したときなどに安定供給を確保するために利用しています。
 配電事業者は2016年時点で49社、また小売電力事業者は74社が事業を行っています。

電力産業への日本の参画は

 日本からは、2014年に三菱重工業が同国の風力発電機メーカー、ベスタス社と洋上風力発電の合弁会社「MHIベスタス・オフショア社」を設立し、世界最大の風力発電機の製造・設置を行うなど積極的な業務展開を行っています。
 今後も、風力を中心とした再エネ関連では投資や合弁事業などが行われると思われます。